農林水産物の輸出促進研究開発プラットフォーム@九州・沖縄

[展望] プロデューサー 羽田 正治

2017/06/07

私は、かつては農水産物の海外輸出というのは邪道ではないかと思っておりました。農水産物というのは、そこで生産し、そこで食するというのがあたりまえと考えておりました。私たちは自給ということを基本に農業をやってきたからです。ところが、ここにきてTPPの問題等もあって、農水産物においても輸出について考える機会が多くなってきました。日本の農水産物をもっとグローバルに扱うべきではないか、という議論です。しかし農水産物の輸出には未知の課題が非常に多く、一次産業の過去のノウハウだけでは到底解決することができないので、産学官連携とか農商工連携などにより、新たな知見を加えて、いかに解決するかということになります。

 

農作物というのはすべて生き物です。収穫後、自然に放置すると1日かそこらで生体としての機能を失ってしまいます。これをいかに持続させるかというのが我々に与えられた大きな課題です。私は今輸出会社をやっております。国と国との生活習慣の違いなどの様々な問題がありますが、大きいのは物流の課題です。例えば香港への輸出でも荷揚げまでには13日とか14日かかります。結果的に鮮度保持が非常に大きな課題になります。

それから、国と国との取引ですから行政上の手続きが影響することがあります。輸入国側は生鮮品をいかにより早く食するかということよりも、放射能の検査のため4、5日余分にかけるというようなこともあります。工業製品ならそれでいいかもしれませんが、農作物のように生き物を、更に4、5日余分にとどめおくというのは、元来あってはならないことです。安全・安心を確保する前に基本的な生体機能が損なわれるわけです。ですから、これをいかに解決するかが大きな課題です。

 

このプラットフォームにおける活動の基本的な意義は、我々が研究開発したものを、農業の生産の現場、商品の現場にいかにフィードバックするかということです。課題が何なのかということを、もっと狭義に突き詰めて解決すること、つまり、時間を短縮することで解決をはかることに取り組まないと意味がないと考えております。

 

 

農家では後継者不足とか高齢化も問題ですが、それ以前に一次産業に従事する人たちのポリシーがだんだん不明確になっているように感じます。何のために農業をしているのか、何のために地域で生活しているのか、それは経済上の問題でカバーされるものなのか。

そこに住んでいる喜びはだんだん無くなってきていないでしょうか。農業をしている喜びが失われてきていないでしょうか。私は、多くの農家が仕事に対して喪失感のようなものを抱いているように感じます。人間としての生きがいをどう取り戻すか、ということが農村に与えられた課題ではないかと考えます。

 

日本は先進国といわれますが、先進国である所以を、産学官連携や農商工連携により英知を結集して、現場を活性化していくことで示さなくてはなりません。農林水産物の輸出を拡大するという本来の目的をどうやって実現するかを見出していくところに、このプラットフォームの役割があると思います。

 

九州はアジアに一番近いという地の利があります。当プラットフォームが引き続きオープンな議論の場となって英知が結集され、九州が農林水産物の輸出促進の課題解決をはかる前線基地として役割を果たしていくため、引き続き会員の皆様のご支援とご協力をお願いします。

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